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CITIZENS OF SCIENCE 今を去ること三年前。 二十歳前にして腸、もとい超劇的な人生の辛酸を舐め切り、 自暴自棄の末に絶命しかけたところを、 「ゲロ〜こいつ腸はみ出てる〜ｖ」 と通りかかった赤河童に拾われ、 無理矢理この世に引き戻されてしまった、 碧緑の瞳をもつ一人の男。 上手い塩梅に傷も癒え、 カードで散々小金も稼がせて貰ったところで、 そろそろおいとま頂きましょうか、 でも今生の名残に一度位、 あの魅惑的な肉体を我が手中に収めてみたいものですねえと、 ポーカーフェイスの下にもたげ出したは、 生来煩悩まみれの本能。 なあに今更怖いもんなんかありませんよと、 往診の医者をたぶらかして入手した秘薬を 悟浄のグラスに入れ、 へべれけにさせたところでいざベッドインと、 張り切ったところでさて、思わぬ邪魔者が。 （コンコン！） 「斜陽殿から来た者だ。夜分すまんが人を捜している、開けてくれ！」 「・・・だれ〜？」 「斜陽殿のもんだ、開けるんだ！ 20歳前後で緑の瞳の男を探している！」 「・・・だ、だれ〜？」 「しゃ・よ・う・で・ん・の・も・ん・だ！開けろ！開けないか！！」 「シャヨウデン〜？」 「そうだ！大人しくしていれば、手荒な真似はしない！」 「ここはシャヨウデンじゃないよ〜。」 「俺が斜陽殿から来たんだよ！ 抵抗すると貴様も引っ捕らえるぞ、開けろ！」 「だ、だれ〜〜？」 「俺は玄奘三蔵！三仏神の命で罪人を捜しているんだ、開けろ！」 「げんじょ〜さんぞ〜？」 「そうだっ！」 「オレはさんぞ〜じゃないよ〜。」 「俺が三蔵だ！ 開けないか！開けないと、う、撃っちゃうぞ！」 「・・・だれ〜？」 「玄・奘・三・蔵・だ！大量殺戮犯の猪悟能という男を捜している！」 「・・・ちょごの〜〜？」 「よおし、そうだ！」 「オレはさがしてないよ〜。」 「捜してないよお前は！俺が猪悟能捜してるんだよ！」 「ちょ、ちょごのお〜〜？」 「そうだっ！」 「ちょごの〜はオレじゃないよ〜。」 「猪悟能はお前じゃないよ！俺が三仏神の命で捜してるんだよ！」 「さっ、サンブツシン〜？！」 「そうだっ。早く開けろ！」 「オレはサンブツシンじゃないよ〜。」 「お前は三仏神じゃないよ！三仏神知らないのかてめえは！ 俺が三仏神の命で、斜陽殿から来たんだよ！」 「だ、だれ〜？」 「斜・陽・殿・のも・ん・だ！！ 頼む、開けてくれ！開けてくれるだけでいいんだ、 後は何〜にもしないから！」 「・・・しゃ、シャヨウデン〜？」 「よお〜しそうだ、開けろ！」 「シャヨウデンはここじゃないよ〜。」 「ここは斜陽殿じゃないよ！ 俺が斜陽殿から来たんじゃねえか畜生！ 大体てめえ、こんな所に斜陽殿があってみろ・・・・」 ・・・・・・・・・・・ ・・・(ﾞ｀o´ )/・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・(￣○￣;)!・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・(-_-メ)・・・ ・・・・・・・・・・・ かくして猪悟能は本懐を遂げることはできなかったものの、 この間にまんまと窓から脱出、 追ってきた悟空を肉まんで懐柔し、 めでたく姉の亡骸を葬った後、 望み通りに後追い自殺を果たしたため、 お馴染み４人組が天竺へ旅立つ日は、 永遠に来なかったそうな。 
(絵・kyocoたま＠Mind Atlas) |